REBORN 蘇る名刀
@佐野美術館(静岡県三島)
原爆ドームや原爆資料館など、戦争関係の資料館に行ったことがある人は、この気持ちを分かってくれると思う。
焼けてぐにゃりと曲がった刀、反りがなくなり真っ直ぐになった刀、錆びで茶色くなった刀……
戦や天災によって以前の美しさが失われたそれらは、(言葉として正しくないかもしれないが)遺品や死体を見るような気持ちがした。
大坂城落城、明暦の大火、日光東照宮の火災、関東大震災、秋葉山の山火事で"鉄の塊"となった刀たち。
再刃された刀は、焼けた刀だとは分からないほど綺麗に生まれ変わったものもあれば、歪みや傷が残ったままのものもあった。
同田貫の脇差。
再刃されたものの、大きな傷がいくつも残っていた。
太刀を磨上げて脇差とした際、銘を残そうと茎を折り返されたことによって、銘が逆さまになっている。(折返銘)
初めて見た。
泣きそうだった。
同田貫の銘をなくさないよう努力してくれた人がいることにも、胸を打たれた。
名前だけは知っていて見たことがなかった刀も、たくさん見ることができた。
ゲームをしている中で『○○で焼けた』という文言をよく目にしたが、刀が"焼ける"とはどういうことなのか、これまでは全然分かっていなかった。
ぐにゃぐにゃになり、薄くなり、錆びた刀は、ダイレクトに私たちの心へ訴えてくれる。
再刃された刀。
そして、焼身のままで当時の様子をありのままに伝えてくれる刀。
どちらも"新たな刀"として生まれ変わり、以前とはまた違う価値を見出だされたものたち。
素晴らしい展示だった。
このような展示を、今後見ることができるだろうか。
人がいなかったら、きっと泣いていた。
泣いたら涙が止まらなくなりそうで、最後まで泣くのを我慢した。
多分、鑑賞中の私の顔は般若のようになっていたと思う👹
つらかった。
とにかくつらかった…………
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日本刀の輝きは、時代を超えて人々を魅了してきました。
しかし長い歴史の中で、大坂城落城、明暦の大火、関東大震災など、戦乱や天災に巻き込まれ、焼けただれ、鉄の塊となってしまった名刀も多くありました。
名刀と呼ばれる刀剣は、ある時は特別な霊力を秘める宝物であり、ある時は権力の象徴でした。それゆえ日本人は、焼き直しという手法で傷ついた刀剣に再び命を吹き込み、今日まで伝えてきました。現在では文化財保護の観点も視野に入れ、この試みが続けられています。
本展では約50件の刀剣をご紹介します。様々な困難をくぐり抜け、今また美しい光を取り戻した刀の物語です。
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(美術館紹介文)